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2022年06月21日16:30

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「メタモルフォーゼの縁側」〜優しさとあたたかさと心地よさと

郊外の一軒家で書道を教えるひとり暮らしの雪(宮本信子)は、書店でバイトをする高校生うらら(芦田愛菜)の熱心なアドバイスのおかげで、気がつけばBL(ボーイズラブ)漫画の世界にどっぷりハマっていた。BLへの愛を語り合ううち、58歳差ふたりの交流は深まっていく…。監督は狩山俊輔。鶴谷香央理のコミックが原作。

観終わったとき、こんなに幸せな気分になったのはいつ以来だろう。単なるハッピーエンドとはどこか違った、もっと穏やかで優しい何か。ふだんスクリーンに向かいながら、思わぬ急展開や意外な存在の出現、あるいは伏線のありかを探っている自分がはずかしくなるような、もっと素直に映画と向き合いなさいと言われているような感覚。

なんといってもふたりの主演女優(「阪急電車」の老婦人と孫からほぼ10年!〜今回の脚本も岡田惠和)が紡ぎ出す、ふんわりとした空気感が素晴らしい。とりわけこれからの芦田愛菜にはどんな作品のどんな役柄が待っているのだろうかと、昨年の「星の子」でも同じように感じた彼女の女優としての可能性には大いなる興味。

あと彼女の母親役の思わぬ起用(これがスッピンか!)にビックリ。劇中作品のクオリティの高さが「ハケンアニメ!」の好評価に貢献したように、今回はコミック原作だけあって、BL漫画をとりまく数々の描写には説得力あり。なかなか味わえないこのあたたかさ、まちがいなく今年の日本映画の収穫のひとつと言っていいと思います。
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