“ミス・アメリカ”リンダ・ロンシュタットの半生を描いたドキュメンタリー。豊富な資料映像と豪華なゲストの証言を中心に…という王道の作りながら、まず聞こえてくるのは彼女自身のナレーション。このところ頻発する音楽ドキュメンタリーではめずらしい試みかと思いきや、全編にわたるものではなくガイダンス的な導入部だけだった。
けっしてあか抜けているとは言えず、健康美がまぶしいデビュー当時。夢見る頃を過ぎてスターダムへの階段を駆け上がる時期には、グッと洗練され色艶も増したリンダ。ただ人気絶頂期の彼女に当てるスポットは思ったより控えめ、それ以前と後々に比重を置いたように思えるのはピーク時の彼女にハマった我々世代の偏った印象か。
それにしてもウエストコースト勢総出演と言っていいほど豪華なインタビュイー。キリがないのでいちいち名前は挙げないけど、相変わらずカッコいいひと、いつまでも美しいひと、いったい誰だかわからないひと、まさに駆け足の人生。いわゆる“観られる仕事”ではない、著名な制作サイド各氏の変貌ぶりもミーハー的に興味深い。
ヒットシンガーとしての立場を積極的に放棄し、退路を断って新たなジャンルの音楽に挑む彼女、さらに時はめぐり人生の難局にも遭遇。“メキシコ音楽そして家族”という自らのルーツに立ち返ったラストシーンには、あふれ出る涙をぬぐうひとも多いはず。西海岸音楽愛好家だけでなくすべてのポップス好き必見の力作だと思います。
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