2月20日西郷輝彦が亡くなりました。心からのご冥福をお祈りいたします。
西郷は橋幸夫、舟木一夫、三田明などと並んで、昭和60年代にデビューして、若い当時の世代をたいへん沸かしたスターでした。
「君だけを」でデビューし、たちまちファンを得て人気歌手になり、その後俳優として時代劇を中心に活躍しました。
最近は病気に悩まされていたようですが、彼のなしたことはたいへん偉大なことだったと思います。あちらでは、心穏やかに存分に当時の仲間と語らっていることと思います。
さて、20日ですが、NHK-BSの長期歌番組である「新日本のうた」で、フランク永井の「おまえに」が歌われました。当日は「カラオケだ!細川・長山・福田・みちのく娘!」とのキャッチで、【古今東西名曲特選】が披露されたあとの、【スペシャルステージ】というカラオケの雰囲気とやや強引に結びつけたコーナーで、多数の曲が紹介されました。
この番組は最近あまり見ることはなかったのですが、親しくさせていただいている方から電話で紹介されて、鑑賞させてもらった次第です。
それなりに新鮮さを感じました。
何がそう思わせたのかと、いろいろ振り返ってみました。まず司会者が近藤泰郎アナに変わっていたことです。定期的に担当を変えて、こうした歌番組を経験させているのでしょうね。
また新人かと思える若い歌手が何人も登場していることです。しかもなかなか歌のうまい歌手たちだったので、すごくいいことだと思いました。一条寛太という男性歌手は、いい声で歌もうまく、気に入りました。
さらには、当日流される歌に、埋もれていたような名曲を探し出して挿入していることです。ひと時の歌番組では、売れている、ヒットしたというだけで、確かに著名な歌だが、繰り返しそればかりだと飽きてしまいます。この番組を避けるようになったのも、そのような原因があります。「おさらば故郷さん」「北緯五十度」といった曲などはそうではないでしょうか。
歌番組では、こうした制作陣の姿勢が貫かれないと視聴者が必ず離れます。これからもいい番組を期待します。
さて、福田こうへいの「おまえに」はどうだったのでしょう。電話で教えてくださった方も言われていたのですが、私も同じ感想でした。
一言でいわば、福田にこの曲を歌わせたのは失敗です。彼は民謡出身です。高い声質、忠実な音程、激しいこぶしが特徴で、彼のデビュー曲である「南部蝉しぐれ」は、すばらしいものでした。
勉強家でどのような曲でも、リクエストされればそつなく歌いこなします。だが、曲によって合っているか、視聴者をうなずかせられるというと、それは別です。フランク永井にロックを歌えというようなものです。
「おまえに」はフランク永井ですら、最初にレコードを発売したのは「大阪ろまん」のB面で、1966年でした。このときはA面に隠れた感はありましたが、それにしても曲への関心は高くなりませんでした。
1972年にやや歌い方を変え、あらためてA面で発売したのですが、それでもヒットには至りませんでした。注目されたのは、異例の3回目のリリースです。1977年、B面に「妻を恋うる唄」をカップリングされて発売されました。社会的にカラオケがブームになっていたことと重なり、注目され、人気を得ていきました。
3回目のレコードを聴けばほぼ2回目と同じなのです(音源は同じだという記録もある)が、やはり、フランク永井の歌い方が大人になっています。節の隅々まで、フランク永井でなければ表現できない、感情の深さが行き届いています。
この曲は後日、ささきいさお、五木ひろし等、多数の歌手がカバーしています。五木もささきも彼らなりの味がでています。カバーではいいほうではないでしょうか。それでも、いったんフランク永井の歌唱を耳にしているファンには、物足らなさを感じさせます。
だから「おまえに」を他の歌手が歌うというのは、そうとうの決意がいるものと思われます。
結局は、番組制作陣の配役というか、どの歌手なら「合っているか」についての判断だと思います。プロの歌手には歌手としての確かな得意分野、方向性をもっています。
番組を見ながら、私は次々と登場する歌手の歌唱を聴きながら、声質と歌唱、歌(詞とメロディー)への消化力を見ています。フランク永井の若い後継者に育つ歌手ならいいなと期待しながらです。
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