『大阪に暮らす人々は、外から見た”大阪らしさ“をあえて演じているんじゃないかと思うときがある』ー2014年脱サラの末に大阪にやってきた、1979年東京生まれ育ちのフリーライターによる本書の書き出し。この一文に共感を抱きながらページをめくっていった次第。集英社WEBマガジンの連載を一冊にまとめたもの。
彼が訪ね歩いた町は天満・西成・西九条・谷六・城東・此花と市内周辺部がほとんど。あと花博記念公園と夢洲という“祭のあとそして前”を訪ねたり。もちろん道頓堀や船場も歩いてはいるけれど。こちらが当たり前のように思っていることを、さも新たな発見をしたかのように実直に綴っていく様はある意味初々しさを感じたり。
もっとも特記すべきことは、取材がこの2年間、つまりコロナ禍が降りかかった大阪の街を訪ね歩いていること。当然ながら取材対象としてハッピーな日々を過ごすひとが登場することはあまりなく、苦しい日々ながらもコロナが明ける日を信じて、前向きにたくましく生きる大阪のひとたちの言葉を巧みに拾っている。
つまりこの書は「それから」の大阪を生々しく記録したアーカイブとして、のちのち貴重な存在になり得るかと、行きかうひとがほとんどいない“地面が広く見える”(←本文引用)道頓堀のフォトを眺めながら確信。なるほどそういう意味においては、東京から来た書き手ならではの客観性がうまく活かされた一冊だなと思った次第です。
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