2022年沖縄市コザ、グダグダの日々を過ごす翔太のもとに祖父ハルの訃報が届く。彼はかってこの街のライブハウスで米兵たちを熱狂させたバンド“IMPACT”(ここでピンときたひといるはず)のボーカリスト。亡霊となって現れるや翔太の身体と意識を乗っ取り、そのまま1970年のコザにタイムスリップしてしまったのだった。
沖縄、ロックミュージック、タイムスリップ…映画作品としては実に魅力的なアイテムを目の前に並べられ、コメディタッチあふれる冒頭の疾走感がやや落ち着いた中盤あたりは、せっかくの素材をどこか持て余しているようにも感じた。なんでも「第3回未完成映画予告編大賞」グランプリを受賞したというのがその証左でもあるような。
紫とORANGE RANGEという沖縄を代表する新旧バンドが音楽担当、その“タイムスリップ感”が巧みに活かされた、ライブハウスでのワンシーンは印象的。そう、着地どころを探してさまよっていた物語が、ふたたび音楽に戻って収束するラストシーンでは、半世紀の重みをずしりと感じしみじみとした思いに駆られてしまう。
沖縄が舞台ということで、いくらでも社会性を盛り込めるところあえて最小限にとどめている潔さ、そのぶんツラいことがあっても笑って吹き飛ばす沖縄人のおおらかさをポジティブにすくいとった部分には好感。魅惑の熱唱、主演の桐谷健太はすっかりウチナンチュー役が板についた様子、彼って天神橋筋六丁目出身なんですけどね。
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