ウェールズの片田舎というからロンドンでもマンチェスターでもなし。英国特有のなだらかな丘陵、緑あふれる農場のなかに建てられた音楽スタジオ。創設者のウォード兄弟とその一家は、家業である酪農業と共存させながら、UKロックの歴史に残る名曲をいくつも生み出した空間の経営に半世紀が経ったいまでもしっかり携わっている。
おなじみのミュージシャンが次々と登場。英国的匂いが濃いいくつかのバンドとはひさびさの対面。映像資料が不十分なパートは愛らしいイラストがカバーする。パンク/ニューウェイヴの連中とは縁遠かったように思えるが、唯一の例外であるシンプル・マインズが、最後にはスタジアムクラスのバンドに成長するのは必然か偶然か。
オアシス、ザ・ストーン・ローゼズ、コールドプレイ…このスタジオがもっとも稼働していた90年代のミュージシャンが今回のメインアクト。ただ誰も彼もけっこう健康的なフツーのニーチャンに映るのは、それ以前のUKロックにハマった世代の勝手な思い込みか。そういえばブー・ラドリーズなんてバンド、今回初めて知ったな。
終盤近く、カメラは現在のロックフィールドを映し出す。スタジオでは歌うのは…いかにもイマの社会の趨勢に気をつかっているような。そして英国特有のどんよりした曇り空のもとその全貌が映る。スタジオの録音機材は間違いなく進化しているだろうけど、そののどかなたたずまいは半世紀経ったいまでもまったく変わらないのだった。
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