“桜切るバカ、〜”ということわざをタイトルに引用しただけなのかと思っていたら、梅の木は物語においても重要なアイテムだった。50歳になる自閉症の息子とふたり暮らす年老いた母親。グループホームや近隣住民〜地域コミュニティとの係り合い。監督はこれが9作目になるという和島香太郎(元横綱・現解説者北の富士の甥)。
都市近郊の住宅地、占いで生計を立てる珠子(加賀まりこ)は、ひとり息子の忠男(塚地武雅)とふたり暮らし。知的障害者が共同生活を送る、近くのグループホームに空きができたと聞いた彼女は忠男を入居させようと決意。やがて彼の行動がきっかけで、利用者のふるまいに業を煮やす近隣住民は、ホーム退去を求めた署名運動を展開する。
加賀まりこ54年ぶりの主演作というトピックよりも、やはり特筆したいのは塚地武雅の好演。おそらくかっての山下清役あたりがヒントになったキャスティングだと思うが、かっての「間宮兄弟」や先日の「おちょやん」しかり、彼って与えられた役柄によっては実力以上のものが発揮できるスーパーサブ的な存在なのかと思ったり。
全編77分の短尺、もうひとヤマほしかった、もうちょいここをふくらましたらと感じるも部分あり。ただ知的障害者の日常というテーマと向き合う以上、これ以上ドラマティックにすればリアリティがなくなるという思いも。ムリヤリ着地させた結論よりも、誰にも等しく日々は流れるという日常性を強調したかったのかもしれません。
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