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2021年09月24日15:15

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「クーリエ: 最高機密の運び屋」〜私を愛したスパイ

1960年代初頭、米ソの冷戦構造が緊張感を増すなか、東欧諸国に産業機械の部品をセールスする英国人ビジネスマンのグレヴィル(ベネディクト・カンバーバッチ)は、MI6経由CIAの依頼を受けてモスクワへ飛ぶ。国家に背いたソビエト高官ペンコフスキー(メラーブ・ニニッゼ)と出会った彼は、機密情報を西側へ運び続ける…。

途切れることのない緊張感が物語全体を包み、ささいなセリフや細かい演出にも神経質になる。いち民間人がやがてはキューバ危機に関わるキーパーソンとなるまでの気持ちの葛藤を、カンバーバッチは実に細やかに演じている。ヘタにイケメンでないだけに、俳優としてのこれからの彼には、果てしない可能性が広がっているように思う。

グレヴィルの妻シーラを演じていたのが、「ワイルド・ローズ」のジェシー・バックリーと知って驚く。あの野卑なロック姐ちゃんが60年代英国の良識ある専業主婦とは。ところが物語が後半に進み、家族の存在が大きくなってくるにつれて、彼女の持ち味である気の強さがきっちりと前面に出てきたのはある意味ホッとした。

ラスト30分は凄まじい。いや、ストーリー的にはある程度こうなるだろうという予測はできていたけど、ここまで息づまるものになるとは。“事実に基づく物語”のお約束事がエンドロールで展開、観る側はあらためてこの出来事にリアリティを感じ、心の底からスパイだけにはなりたくないと願う。スリルにあふれた骨のある作品でした。
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