津村記久子のデビュー作であり太宰治賞を受賞した小説を映画化。児童福祉職への就職が決まり、どことなくぼんやりした不安を抱えながら、卒業までの日々を過ごす大学生の佐世(佐久間由衣)。卒論の作成を通じて知り合った同じ大学の楠子(奈緒)とはすぐに意気投合するが、やがて作世は楠子が抱える心の痛みに気づいてしまう…。
作世自身がけっこう軽いノリの女子大生として登場、さらにいかにもイマ風なキャンパス模様がしばらく展開、これはどこかでシリアスに暗転するまでの伏線を、しきりにバラまいているのではないかと推測。ところがそのシリアスなムードはジワジワといつのまにか忍び寄ってきていて、やがて各人の心の闇は幾重にも重なっていく。
大人の出る幕はなく、ほとんど大学生ばかりで完結する物語。主演のふたりはいままでTV中心に活躍していた女優のようで、榮倉奈々と池脇千鶴がプロトタイプみたいな気がしないでもないけれど、けっこう新鮮な印象。あと「サマーフィルムにのって」よりはマシな役をもらった小日向星一、血は争えないバイプレーヤーぶりを発揮。
目の前で待つ児童福祉職、つまり社会に出るまでのモラトリアム期間に、その後の人生でずっとトラウマになりそうな出来事に出くわした、作世の心情にいかに寄り添えるかが味わいどころ。キャンパス恋愛ものとリアルな社会派作ものとのブレンド具合が絶妙、原作者がゆえに全編大阪弁を期待したけど、さすがにそれはありませんでした。
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