明るい未来を奪われた若き女性キャシー(キャリー・マリガン)の執念深き復讐劇。Netflix作品でカミラ夫人を演じたことのあるエメラルド・フェネルが監督、製作に「アイ、トーニャ」主演マーゴット・ロビーと、なにやら観る前から女性の怨念が伝わってきそうな作品。ことしのアカデミー賞、作品賞はじめ5部門にノミネート。
ツカミからテンポのいい復讐劇がたたみかけられる。確かな未来が保証されていたかっての医大生、現在はユルいカフェで働くキャシーの過去には何があったのか。観る側は多少ジラされながらも、一枚一枚皮をはぐように事実を知ることになる。さらにいかにも小市民的キャラの小児科医ライアンとの出会いそしてそのゆくえは…。
復讐劇というのならば、もう一歩突き抜けた感じがほしかったような気がしないでもないが、そのぶん最初は単なるサイコと思わせたキャシーの人間像に、時間の経過とともにじわじわと愛着を感じたのも事実。まあ執念深い女の恨み節ならば、日本の女性のほうが一枚上なのではと、勝手なことを考えたりもしたけれど。
パステルカラーの上からルージュと薔薇と血を思わせる真紅をベットリ塗り固めたような色彩感覚。SNSどっぷりの現代社会を巧くあぶり出した時代感覚。一見あまりオスカーとは縁のなさそうな雰囲気漂う作品ながら、けっしてエンタメとりわけホラーの方向にブレることのない、不思議な味わいに満ちた秀作だと思います。
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