1996年夏の海外出張は、欧州選手権(ユーロ)の決勝トーナメント日程とほぼ重なっていた。サッカーに詳しくない私は、遠くから阪神タイガース暗黒の日々に気を揉んでいたが、現地はユーロの話題で持ちきり、とりわけサッカーのことになると喋り出したら止まらないイタリア人からは、やたらとツバが飛んでくるのでやっかいだった。
準決勝の夜はロンドン滞在、この日は地元イングランドの試合。めったにない機会だとソーホーのスポーツバーへ。残念ながらイングランドはPK戦敗退。一瞬嘆きの空気が支配したが、やがて画面に映る英イレブンに向かって大きな拍手。あの「ニッポン!」みたいなやつではなく、シンプルな拍手がいつまでも続いたのが印象的だった。
決勝戦はルフトハンザ機にてロンドンからハノーバーに向けてのフライト中。ドイツが優勝したと機長の興奮したアナウンスがふいに入り(ドイツ語オンリーだったが、そういう告知は誰でもわかる)機内は大歓声に包まれた。とはいえ、乗客はビジネスマン中心かつ真面目なドイツ人気質、抑制の効いた騒ぎかただったように思うが。
翌日はハノーバー郊外での仕事。この日のテレビはどの局も市庁舎みたいなところを訪問するドイツイレブン凱旋の様子を映し出していた。それにしても四半世紀も前、いまでもユーロがあるたびにこの時を思い出す。訪問地それぞれの、サッカーにたいするスタンスの違い、お国柄を味わえたのは貴重な体験だったと思ってます。
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