アネット・ベニングとビル・ナイが演じる熟年夫婦と聞いただけで気持ちがそそる。詩集の編纂にいとまがない妻グレースと高校教師の夫エドワード。結婚29年、夫婦の会話はずっとギスギスしたまま、気持ちの昂ぶりを知性で抑えてもきっちり顔を出すのが負の感情。離婚を切り出したのはエドワードの側、そして彼は家を出ていった…。
彼が出ていく朝までの、ふたりのトガった言葉の撃ち合いは、年季の入った夫婦者にとって身につまされるフレーズが重なり、命中の精度はグレースのほうに軍配か。やがてひとり息子のジェイミー(ジョシュ・オコナー〜「ゴッズ・オウン・カントリー」のニーチャン!)がふたりの間に割って入り、物語の視点は彼のものになる。
法的には離婚までには至らず、平行線をたどるふたりの間で、悲しみと絶望ばかりが先行するジェイミー。舞台となった英南部海沿いの町シーフォードの荒涼とした海岸線は、まるで家族3人の感情の揺らぎを表現しているかのよう。邦題はピンとこなかったけど、原題「Hope Gap」はこの地名であり、この作品の大きなテーマでもあり。
終盤の展開は思ったよりずっと抑制が効いていて、いい意味で気持ちよく裏切られた。それはすべてアネット・ベニングの卓越した演技力あってのもの。もう一度書くけどホント夫婦者には身につまされるセリフの連射、というかご夫婦ではご覧にならないほうが身のためかと。ウチもことしで28年目だと、観終わってから気がつきました。
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