ゴスペル作品の傑作と言われるアレサ1972年の「至上の愛〜チャーチ・コンサート〜(原題Amazing Grace)」は、L.A.の教会における2日間にわたるライブ音源。この模様をカメラに収めていたシドニー・ポラック監督は、技術的ミス発生により映像全体をオクラ入りに。このたび最新技術を駆使して補正を施し半世紀ぶりの初公開。
けっこう焦らされた(ような気がした)あと、アレサが第一声を響かせるや教会の空気は一変。彼女の持ち歌あり、他のシンガーのカバー曲あり、ゴスペルスタンダードあり、次々と重なる彼女の熱い歌声に圧倒され、コール&レスポンスに応える聖歌隊をはじめ、魂を揺さぶられた満場の聴衆はやがてトランス状態に突入していく。
そのなかには超大物ミュージシャンのすがた。彼と同じバンドのメンバーもいたとあとから知ったけどそれには気がつかなかった。腕ききがならぶバックミュージシャンの顔ぶれには思わずニヤリとするし、当時のブラック・カルチャーに詳しいかたなら、興奮のるつぼと化す聴衆のなかに知った顔をいくつか見つけるかも知れない。
意図不明なズームやピンぼけもそこかしこ。再生にあたっては余計な後日談的映像をいっさい加えず、真正面からアレサの熱唱をとらえている。歌うことに徹するためかMCから距離を置く彼女とは反対に、司会の牧師や中ほどで登場するお父様の思いやりある言葉が微笑ましい。全編90分、熱い魂のこもった直球勝負が続きました。
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