オーストラリアに渡って歌手になる夢をもつウゲンは、ブータンの首都ティンプー在住の若手男性教師。命じられた新たな赴任先ルナナは、1週間以上かけてようやくたどり着くことのできる標高4800メートルの秘境。人口50人足らずの村で彼を待っていたのはつぶらな瞳のこどもたち…。ブータン出身のパオ・チョニン・ドルジが監督/脚本。
ブレることなく直球勝負に徹した印象。観る側の想像力におもねることはほとんどなく、もっと笑えたりもっと泣けたりできるような場面でも、ムダな演出や技巧をいっさい省いたオーソドックスなつくり。世界中の誰もが素直に感動できるストレートな展開は、やはり”国民総幸福量”を指標とする国が生み出した作品ということか。
物語をつらぬく大きなテーマは歌そして歌うこと。日本人にも郷愁を抱かせるようなブータン民謡や、黒板の前でウゲンが歌う数え唄、そしてエンディングで彼が歌う意外なポップ・ソングまで、劇中に流れるのはさまざまな歌声、それはまるで声に出して高らかに歌うことこそが、大いなる幸せの証しだというブータン人からのメッセージに思えてくる。
…などと、もっともらしいことを言いつつ、実は学級委員役の女の子(チラシに写る子)の愛らしい存在感に引きずられたまま。顔かたちが可愛いことはもちろん、そのたたずまいというか後ろ姿までが愛おしい。たぶんブータンでは秀でた子役なんだろうけど、今後も世俗にまみれることなく、ピュアなままでいてほしいと勝手なことを思った次第です。
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