この作品の感想を書き忘れていた。いや観た映画すべてを日記にしているわけではないけれど、観たあとずいぶんとなるのに、いまだに余熱が続いているから書いておこうと。ことしのベストテン入りは確実な魅力あふれる作品。下北沢の街を舞台にした青春群像劇、古着屋で働く青年・荒川青(若葉竜也)と彼をとりまく女性たち。今泉力哉監督。
「塀の上で」(byはちみつぱい)をすぐ想起したタイトル、変わりゆく下北沢を俯瞰ということか。吉本NSCで和牛やかまいたちと同期だったという今泉監督は培われた笑いのセンスを発揮、ショートコントを見るようなシーンが重なっていく。ただどれもこれも大笑いするベタなものではなく、ほんのりとした微妙な味わいが後を引くユーモア感覚だ。
タイプの異なる4人の女性が魅力的。一般的にはあまり知られていない女優ばかりのせいか、いかにも下北沢のどこかに居てそうなリアリティ。こちらやっぱり大阪弁の彼女が気になってしまうが、すべてを無にしてしまうようなダメージ感あるセリフ、あの一撃のためだけに関西出身の女性という設定にしたのではと笑ってしまった。
スクリーンの向こうに非現実の世界を観たいひとにとっては、一番遠いところにある作品かもしれない。こちら今泉監督の描く日常とは相性がよく、「アイネクライネナハトムジーク」「his」と毎年自分のベストテンにランクイン(前者は1位)させている。ことしも「あの頃。」があってさらに秋には新作と、この多作ぶりには敬服するばかりです。
ログインしてコメントを確認・投稿する