フランスで実際に起きた“ヴィギエ事件”をベースにした法廷物。3人の子供を残して失踪したままのスザンヌ。さしたる証拠もないまま夫のジャックに殺害容疑がかけられる。彼の無実を確信し、子供のひとりと近しいシングルマザー・ノラ(マリーナ・フォイス〜仏人気コメディエンヌ)は、敏腕弁護士モレッティに仕事を依頼する。
物語の中心はヴィギエ一家ではなく、あくまでノラとモレッティ。ふだんはレストランのシェフとして働き、正義感にあふれるノラの行動力は巧みなカメラワークにて活き活きと伝わってくる。いっぽう一見鷹揚な雰囲気ながら節々で懐の深いところを見せるのがモレッティ。モデルとなった弁護士は現在マクロン政権下の法務大臣とか。
証人が代わる代わるに登場する法廷での緊張感あふれるやりとり、そして最終的には裁判のゆくえすなわち事件の真相が、この物語を最後まで引っ張る大きなファクターだとは思うけど、それよりもノラとモレッティ両者のあいだを何度となく行き来する、それぞれの気持ちのせめぎ合いや揺らぎが交差する部分が味わいどころかなと。
法の手続きや法廷の様式は国によってさまざまなせいか、いまひとつ理解できない部分があったり、そもそもなぜノラはここまで使命感に駆られるのだろうと不思議に思ったのも事実。ただこの手の作品のお決まりごと、敏腕弁護士による熱弁部分に関しては申し分なく、法廷物としては一級品といえる秀作だと私は確信しました。
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