誘拐や監禁事件の被害者が、時の経過とともに犯人側に同情や連帯する感情を抱いてしまう奇妙な状況、“ストックホルム症候群”という心理学用語の語源となった1973年の銀行強盗事件を描く。アメリカ人を装った実行犯役ラースにはイーサン・ホーク、彼が主演した「ブルーに生まれついて」のロバート・バドローが監督。
全体をほのかに貫くコメディタッチが邪魔をして、最後までノリきれなかったというのが正直な印象。ラースの過剰なドタバタぶりは“アメリカ人を装っている”ということで許すとしても、警察や銀行、マスコミの側にあまり緊迫感がないのはどうかと。ならば逆にクライムコメディに徹したらと思うが、そもそもそういう題材ではないし。
いや、そこはあえて百歩譲るとしても、この題材の大きな味わいどころは、まったく正対しつつ極限状態にある犯人と被害者が、どのようにして心を近づけていくのかという過程にあるはず。ところがその肝心な部分がどうも行き当たりばったりというか雑に思えてならなかった。というかそれは70年代北欧民族の解放感がなせる技なのか。
実際に起きた事件をテーマにした作品といえば先日「罪の声」を観たばかりだし、銀行強盗といえば大阪南部の我々世代にとっては梅川の事件という刷りこみもあり。もっと気楽に味わえばいいものを、ちょっとシリアスにとらえすぎたのかと反省しつつ、やっぱりせっかくの題材をもったいないなと思うあくまでも生真面目な日本人でした。
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