舞台は米イリノイ州ロックフォード。2016年の大統領選で注目されたラストベルトの一角でもがくキアー、ザック、ビン〜肌の色の違う3人の若者の12年間を追ったドキュメンタリー。監督は中国系移民のビン・リュー(チュートリアル福田やや入り)、つまりカメラを回しながらときには自らも被写体となって登場するという構図。
格差社会における家庭内暴力。出口なしの閉塞感に包まれた彼らをつなぐのは、先日観た「mid90s」においても重要なアイテムだったスケートボード。技量的にはキアーが突出し12年の間にかなりのスキルアップ。でもよく考えれば、その様子をハンディカム片手にブレることなく追っかけているのだからビンも相当なもの。
周辺では2人の女性に注目。ひとりはザックのパートナーであるニナ。日本人なら誰しも親近感を抱く顔立ちながら感情の起伏はいかにもアメリカ女性。もうひとりはビンの母親。それまであくまでカメラを回す側だったビンが、彼女の登場とともに一気に物語の中心へ。そして彼女の存在がこの作品での数少ないドラマティックな部分。
そう、市井の人間における等身大の12年間をリアルに追っているわけだから、さほど劇的なことが起きるわけではない。つまりそれは彼らにとっての出口のない閉塞感を意味しているのかも。原題の“Minding the Gap”はよく引用されるフレーズ(ロンドン地下鉄の表示を思い出した)、今回もいろいろと含みのある表現だと思いました。
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