俳優をめざしながらもいいかげんな生活を続けていた翔太は、劇団の一員として和歌山の高齢者施設を訪問、そこで事務職員として働くタカラと出会う。彼はふとしたことからやり場のないタカラの苦しい現実を目撃。ふたりはすべてを捨てて逃避行の道を選ぶ…。監督・脚本は外山文治、プロデュース・チームの中心には豊原功補と小泉今日子。
翔太役の村上虹郎には申し訳ないけれど、なんといっても注目はヒロイン・タカラ役の芋生悠(いもうはるか)。オーディションによって大抜擢された22歳、まったく色のついていない原石感にあふれていて、どんな女優になるのかあまり想像できないところが魅力なのかも。最近の作品では「37セカンズ」や「恋恋豆花」に出ていたとのこと。
もちろん最後にはそれなりの結末。ただ、かっての”かけおち”ものにくらべると、その道行きにはあまり大きな起伏がなく、ふたりの側も周囲の人たちもわりと淡々とした印象。それって令和の時代における希薄な人間関係の反映なのかも。昔ながらのムラ社会がいまだに残っているように思える、海と山に囲まれた和歌山が舞台なんだけど。
そう、ネタバレになるからあまり言えないけど、ふつうなら最初にまいた種を巧く活用して、物語にもっと立体感をもたせるような気がする。おそらくこれはあくまでふたりだけの物語ということなのか。そうであれば、しばらく思いを巡らせてしまった(実はまだわかったようでわかってない)あのラストシーンにも十分納得がいくのだけれど。
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