祖国バングラデシュを追われ、父親とともにパリにたどり着いたチェスの天才少年ファヒム8歳。やがてフランスチェス界のトップコーチ、シルヴァンと出会った彼は不法入国者のまま国内王座を目指す。ところがその間にも父親ヌラには強制送還の影が少しずつ忍び寄っていた。2010年代における実話をもとにしたヒューマンドラマ。
暴動さなかのバングラデシュから国境を越えてインドへ、さらにパリに向かうあたりまでですでに一編のドラマ。そしてまず言葉の壁から始まるパリでの生活。シリアスな状況にもかかわらず、ファヒムの屈託のないキャラに悲壮感はどこかに置いてきぼり。ヘンに生真面目で融通があまり効かないのはむしろ父親ヌラのほう。
フランス人的偏屈を体現したチェス教室のコーチ役に名優ジェラール・ドパルデュー。ちょっとしたごぶさた感、かってフランス映画といえばこの人ばかり出ていた印象があったけど(いまの日本映画における役所広司のように)。やっぱりこの押しの強いキャラが顔を出すだけで、この映画は面白くなるぞという気がするから不思議。
移民・難民のおかれた困難な状況を真正面からとらえ、問題点をしっかりあぶり出しているところに好感。チェス教室の生徒たちがみな愛おしく、ああ欧米における個性とはこんな具合に育まれていくのかという思い。ちょっとしたセリフの欠片があとから効いてきてシミジミとすることが幾重にも、心揺さぶる感動の物語でした。
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