1980年代前半、文化統制下のソ連・レニングラード。アンダーグラウンドで西側のロックに思い馳せる若者たちの青春群像、実在したロシア80年代バンド「キノ」や「ズーパーク」がモデル。反体制表現が要因で現在もロシア政府の監視下にあるというキリル・セレブレンニコフが監督。タイトルは“夏“という意味のロシア語。
抑圧のなか彼らが夢中で聴いていた当時の欧米ロックが多数登場。とりわけデヴィッド・ボウイ、ルー・リード、イギー・ポップ、トーキング・ヘッズ、この4組には製作側に格別の思い入れがある様子。はたして彼らのどの曲がどのように表現されるのか、視覚効果あふれる特別扱いぶりがこの作品最大の味わいどころ。
ほぼ主役と言っていい「キノ」ボーカルのヴィクトル(韓国系ドイツ人俳優ユ・テオ〜キム・ギドク監督「殺されたミンジュ」に出ていたと知る!)の見てくれがどうみても日本の70年代フォーク歌手そっくりそのまま、そのうえアコギを爪弾いたりするから奇妙な親近感。まあこれはラストシーンをより際立たせるための前提なんだけど。
いちおう三角関係のゆくえが物語の軸となっているけれど、恋愛もの特有の繊細さはなく、ペレストロイカ直前のソ連、当時の若者たちのままならない思いをいっぺんにぶつけた、むき出しの感情そのままの荒削りな作りがこの作品の魅力かなと。不自由であるがゆえに高まる熱量、みたいなものがひしひしと伝わってくる秀作です。
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