英国南部の小さな港町に住むアニーには、腐れ縁パートナーのダンカンがいる。彼は90年代に突然行方をくらました伝説の米ロック・シンガー、タッカー・クロウ(イーサン・ホーク)の熱狂的ファン、自らファンサイトを立ち上げる心酔ぶりだ。ある日、アニーのもとに1通のメールが。なんとそれはタッカー・クロウ本人からのものだった…。
監督は90年代の人気バンド、レモンヘッズ初代ベーシストのジェシー・ペレッツ。彼の音楽偏愛はそこかしこに活きていて、たとえばタッカーが英国田舎町の人たちを前に弾き語りするシーンでは、アメリカ人が”イギリス人にはこの曲を歌えばウケるやろな”と考えそうないかにもな楽曲、誰しもここで思わずシミジミとするはず。
もうひとつのハイライトシーン、それは病に倒れロンドンの病院にふせるタッカーのもとに、彼のこどもたちつまり異母兄弟姉妹が全員集合。それはまるで放蕩を尽くしたタッカーの、これまでのロッカー的生きざまを一覧するかのよう、居合わせたアニーはぼうぜんとしてしまうけど、観ているこちらは笑いが止まらない。
邦題だけはなんとかしてほしかったけど、脇役のひとりひとりが愛らしくセリフのやりとりも絶妙、手作り感にあふれ自分だけの隠し玉にしておきたくなるような小品。あとわずかながらの登場でも、テート・モダンやターミナル駅そして病院などの美しきたたずまいにふれると、またまたロンドンに行きたくなる、そんな愛おしい作品でした。
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