2020年の年が明けた。
暮れには日産元社長のカルロス・ゴーンがレバノンにその名のごとく行ってしまった。正月間もなく、米国がイランのソレイマ革命防衛隊司令官を殺害したというニュース。何とも今年を象徴するような出来事で世界を不安に巻き込んだ。
だが、今年も、フランク永井関連のエピソードを明るみにしていくことで、少しでも気持ちを和らげていけないかを考えてみたいと思う。文四郎日記、今年もよろしくお願いします。
フランク永井のレコード類は基本的に、1985(S60)年、つまり現在の令和の前の平成のその前の後年で、今から35年前に発売は終了した。フランク永井が30年間の舞台を降りたときのことがマスコミは暗く扱い、フランク永井とファンには辛い長い時期があった。やや言い過ぎかもしれないがおよそ20年間の「暗黒時代」。
だが、2007年に「昭和歌謡黄金時代」、2009年に「歌伝説〜フランク永井の世界」がNHKで放送されて、全面的な封印解除がなされ、ようやくフランク永井の全面復帰が遂げられた。だが、時すでに遅しの感があった。フランク永井の全盛時代を支えた幅広いファン層の年代が高齢を迎えつつあったからだ。20年の低迷期の存在は大きく、ファン層が若い世代に受け継がれていくチャンスを逃した感があった。
しかしフランク永井の戦後の大衆文化に与えた影響は巨大で、女性の大御所美空ひばりに男性として匹敵するものだったからだ。低迷時代に男性歌手でフランク永井の存在に代わって役を果たしたのが石原裕次郎であり、三橋美智也、春日八郎、村田英雄、三波春夫らの歌手であった。フランク永井の再登場、といってもすでに舞台に出られるわけではなく、現在のようにAIでのバーチャル出演もままならずであった。
熱いファン層を代表して、フランク永井の故郷宮城県大崎市松山では、2008年に「第1回フランク永井歌コンクール」が開催された。そして、2010年には「フランク永井・魅惑の低音のすべて〜きらめく昭和歌謡を開いた栄光の全記録」(通称「フランク永井データブック」)が世にだされた次第である。
大崎市のファンの有志は事実上のフランク永井公式サイトとなっている「フランク永井の故郷から」というインターネット・サイトが開かれた。
テレビやラジオでもフランク永井の扱いにはタブーが払しょくされてきた。大きく復活したテレビの歌番組では「懐メロ」的なコーナーではフランク永井は欠かせない大歌手として存在感をもっている。ラジオではNHKのラジオ深夜便では毎年欠かせず、命月の10月にほぼ2時間の特集を放送している。またテレビ各局も、定期的にフランク永井の特集を組んできた。
そしてフランク永井が生涯属してきたビクターからは、毎年のようにCD商品がリリースされ続けている。特に近年は、フランク永井の作品で過去に商品に登場していないような、珍しく、かつ貴重な曲を掘り起こして紹介している。
そのようなことから、2010年に編纂されたデータブックに記載されていない曲もぽつりぽつりと発見されてきている。これからも続くのではないかと、大いに期待できると喜んでいる次第。
前置きが長くなったが、表題にはいろう。実は、かつてレコードと同時期に発売されていたテープ版のなかにも、データブック未記載の曲があったということである。
何度も触れてきたことだが、データブック編纂時はテープ版が存在するのは承知していたが、それはあくまでも同名で発売されているレコードと内容は同じものという判断をしていたことだ。現物を確認するという編纂者に課せられている当然のことをしていなかったことからの結果。至らない自分の力からの欠陥として、まことに申し訳ないこと。
そんなことから、当サイトでそうした発見があるたびに、くまなく報告をしてきた次第。
今回は、2016〜2017年にいちど触れた件3点の再紹介。ただ、これはあくまで手元になる現物や資料に負ったもので、すべてではない。一つは、2016年5月に紹介した「フランク永井オン・ステージ」。1976年の作品。
大阪ロイヤルホテル・スカイラウンジ・ショーの録音で、フランクス・セブンの演奏。LP版は19曲にたいしてテープ版は28曲で、9曲が余分に入っている。この差は、LPに収録可能な標準的な時間と、テープの両面に収録可能な時間に差があるため。曲数が変わらないのではないかという予想をはるかに9曲も超えているというのは驚きだ。
その逆なのは「輝ける21年の足跡」。1971年の発売。LPが2枚組で、テープは表裏だが1本。LPにはテープ版に収まらない6曲がある。
まさかと思うのは1982年の山下達郎プロデュースということで噂の多い「Woman」。誰もがこの種で相違はないのではないかと思うのだが、テープ版には4曲多い16曲が収録されている。2017年12月の当欄で紹介したとおりだが、「夜明けの街」「ブランデーグラス」「めぐり逢いふたたび」「霧子のタンゴ・パート�供廚�それで、「めぐり逢いふたたび」はデータブック未記載の曲。
「霧子のタンゴ・パート�供廚蓮∪茲痢峙韻韻�21年の足跡」のリサイタルように特別に作られた曲だが「Woman」テープ版では、スタジオでの採録音のものが紹介されている。
テープ版をなめちゃいけない! というのが教訓。だが、テープ版については残念ながら全容がつかめていない。フランク永井に関するテープ版はどれほどあったのか。上記のようなことから想像するに、ひとつはライブ盤が要注意なのではないか。例えば最後のリサイタルになった「歌手生活30周年記念ライヴ」(1985年)のLPは1枚版。フル盤ではないから、テープ版(きっとあるはず)なら、さらに別の曲も楽しめたのではないかと期待できる。
それから小椋佳と組んでつくった「マホガニーのカウンター」(1983年)なんかはどうだろう。「Woman」とならんでカバーが多い盤だが、フランク永井が若い、そしてジャンルの異なるエンターテナーと組んでの作品であるだけに、テープ版があるなら、ぜひとも聴いてみたいものである。
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