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2019年11月12日18:40

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仁丹の匂いでタイムワープ

これは試供品でもなんでもなくて、「バラエティケース」という名称のれっきとした430粒入り商品。もちろん店頭ではちゃんと袋に入って並んでいる。ただしこれはそんじょそこらの仁丹にあらず。あるひとからもらったものなんだけど、そのひとが言うにはある阪神間のライブバーで飲んでいたとき、なんと仁丹の元社長(たぶん森下さん)から直接手渡しでいただいたと。

老齢男性の集団がどどっと上機嫌で入店。訊くと彼らはみな甲南大出身、どうやらそのバーはOB会3次会場となったらしい。やがてひとりの男性がおもむろにポケットから取り出し…。当然もらったほうはキョトン、やっぱりこれはジジイの必需品かと。すると横にいた男性が「このひと仁丹の前の社長やで」。最初はベタな冗談かと思ったけど、やがて話を交わすうち…。

それにしても懐かしきこの匂い。この小さな箱を鼻先にちょっと近づけただけで漂うあのころの空気。これぞお手軽なタイムワープだ。そう、ウチの場合はおばあちゃんから発していた記憶があるけど、あのころはごくごくふつうに日常生活のそこかしこに漂っていたなあと。おそらく昭和のお年寄りはほとんどみな仁丹を携行していたということだろう。

この感覚、嗅覚と聴覚の違いこそあれ、ラジオから予期せず懐かしい曲が流れてきたときの、あのなんとも言えないせつない気持ちにそっくり。こうなったら一気に口の中で溶かすことなんてせず、絶えず手元に置いといて、ごくごくたまに匂ってやろうなどとセコいことを考えた次第。森下仁丹株式会社元社長様、今回はどうもありがとうございました。
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