個性派俳優ウィレム・デフォーが画家フィンセント・ファン・ゴッホを演じる。過去何度も映画化された芸術家の生涯に挑むのは「潜水服は蝶の夢を見る」のジュリアン・シュナーベル監督。友人ポール・ゴーギャン役にオスカー・アイザック。ようやくこれでことし初めのアカデミー賞主要部門ノミニーはすべて日本公開されたことに(DVDスルーはのぞく)。
主人公が孤独な存在だけにセリフとモノローグが同じくらいの比重、彼が饒舌になるのはゴーギャンはじめ近しい存在との創作談義に応じるときのみ。画面がブレることも気にせずハンディカメラを多用、最初それはゴッホ自身の目線かと思ったがそうでもなく、それは観るものの五感すべてに訴えるリアルな美しさを演出するための有効な手段だと次第にわかってくる。
音響面に注目。静寂が続くまま、さもなくばピアノが響いていたという印象のなか、このピアノの素朴かつ無骨、生々しいタッチが素晴らしい!担当したのはタチアナ・リソフスカヤというカザフスタン生まれ、かってはロシアでモデルもしていた女性47歳とは興味深い。たまにバイオリンの音色も聴こえてきたけど、とにかくピアノの音に耳を傾けるだけでも値打ちあり。
さりげなく世界的名画が壁に掛けられていたり、あきらかに作品のモデルとなった人物が登場したり、思わずニヤッとするショットもいくつか。なのでゴッホ自身のこと、あるいは西洋美術全体をもっと知っていれば、諸説ある彼の最期をふくめもっといろいろツッこめたのにという思い。とにかく30歳ゴッホに真摯に向き合った60歳ウィレム・デフォー、迫真の演技でした。
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