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2019年10月21日15:50

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「楽園」〜リアル村社会・リアル村八分

吉田修一の短編小説を「64 ロクヨン」「菊とギロチン」の瀬々敬久監督が映画化。長野県の山奥深く、限界集落とその周辺の村社会で諍いを繰り返す人間たちの哀しき群像劇。俳優陣は多彩ながら、綾野剛・佐藤浩市・杉咲花の3人がほぼ中心軸。ある夏の日、人通りのほとんどない村道のY字路で小学生女児がすがたを消す。彼女は行方不明のまま12年の時が過ぎ…。

犯人探しに向かって一直線に突き進むミステリー&サスペンスにあらず。村社会におけるいびつな人間関係を前面に押し出したまま話は進んでいく。(我々が使う比喩表現でなく)リアルな村八分も登場、ほんと村社会というのは厄介なもの、都会生活のほうがよっぽど気楽だなとしみじみ感じさせる。そしてその間、犯人探しのほうはほぼほったらかしたままだ。

時間の経過に加えていくつかの人間模様を並行に描くので、誰と誰とは既知の関係だったかどうか、頭のなかで整理するのにちょっと時間がかかる。そのぶん話に深みと味わいがにじみ出て、エンディングが近づくにつれ重たい感動がじわじわ得られる。タイトルの意味ひとつとってもすぐ納得がいくようなヤワなものではなく、観る側にいろいろと考えさせるものだ。

いつもとはまったく違った役柄を演じている綾野剛に注目。そして脇を固める片岡礼子・黒沢あすか・石橋静河といった女優陣の存在感が魅力的。毎度のことながら、瀬々監督というのは多くの登場人物を巧みに機能させることに長けているひとだなと。それにしても地方の町村を舞台にした日本映画って、判で押したように地元のお祭り場面が出てくるなあ。
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