伊坂幸太郎による小説を「愛がなんだ」の今泉力哉監督にて映画化。主演は三浦春馬・多部未華子…と思っていたら、やがてそれは彼らばかりではないと気づかされていく恋愛群像劇。この物語を貫くテーマは“出会いの奇跡“、いかにもイマの邦画っぽくてクサいけど、出演者たちのみずみずしいたたずまいと巧みな演出に魅せられ、これは思わぬ拾い物と感じた一本。
いきなり様々な人間関係がバラまかれ、観る側はちょっととまどってしまう。主演と謳われた多部未華子も、ちょろっと顔を出しただけでしばらくほったらかしのまま。この調子で最後にはすべてきっちり回収できるのだろうかと不安になった矢先、いきなり10年の年月が経過してさらに新たなキャラが登場、風呂敷を広げっぱなしのまま話は進んでいく。
ところがこのバラマキが、後半ではニクい演出を重ねつつひとつひとつ繋がっていき、不安な感触は徐々に心地よさへと転じてくる。悪人はひとりも出てこず、大きな事件が起きるわけでもない。性善説に基づいた人間賛歌と言ってしまえばそれまでだけど、なにげない日常の大切さや、すべての人はその人生における主人公などというフレーズが思い浮かんだりする。
思わぬ拾い物と書いたけど、これはことしの邦画における収穫のひとつではないかと、あとからジワジワとした感動が。ただ、ひょっとしたら昨今のテレビドラマに同じような匂いがありそうな気も。そう、ふだんそれらをほとんど見ないこちらは、このプロットを新鮮に感じただけなのかもと思ったり。まあそのあたりはご覧になってジャッジしていただければということです。
ログインしてコメントを確認・投稿する