セルビア=クロアチア共同製作。定年間近の鉄道運転士イリヤ(ラザル・リストフスキー)は、その長いキャリアのなかで28人轢き殺したというのが“自慢”。あるアクシデントがきっかけで彼の養子となったシーマ(ペータル・コラッチ〜勝村政信ちょっと入り)は義父に憧れ鉄道運転士の訓練中。そしてイリヤが彼に課したプロフェッショナルな運転士の条件とは…。
セルビアの鉄道当局からクレームが来ないのかと心配してしまうくらい、運転する列車で何人轢き殺したという価値を置く男たちの世界。いや、それだけでなく鉄道文化というか運転業務すべてに関することがユルユル、日本の超管理運行に慣れたものにとっては危なかしくって仕方ない。操車場に置かれた古い車両を改造して住まいにしているすがたは微笑ましいけど。
独特の画質やセリフの間、観る側はニヤニヤ笑うけどけっして大笑いすることなく、もちろんドタバタにあらず。そこかしこにカウリスマキ作品を思わせるような空気感を抱えつつユーモアタッチで物語は進んでいく。ただいくつかのレビューでは、ここでの笑いをブラックユーモアと表現されていたのだけど、それらはまた別のものだと思うけどどうだろうか。
基本的には父から子への、そして彼らをとりまくひとたちの愛情、仕事への誇りというところがメインテーマ。ふだんあまりなじみのない国が舞台、どこか寓話的な要素もあるので時代感覚がまったくつかめなかったが、不意におなじみのスマホの着信音が聞こえてきて、ああこれは現代の話だったかと我に帰る…それだけ日常から遠いところにある作品だということです。
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