エルトン・ジョンの伝記映画が製作され、タロン・エガートンが主演と聞いたとき、これは最高のキャスティングだと思った。その姿かたちももちろん大きな要素だけど、英国映画界における彼の勢いが、若き日のエルトン・ジョンとダブったから。ひょっとして彼はエルトン役を演じるために俳優の道を志したのかなんて、とうていありえないことまで想像してしまった。
“レコード会社のエラいさんはとりあえず一度ケチョンケチョンにけなす”“名曲誕生の瞬間はもったいをつけてメロディを小出しにする”etc、音楽伝記映画のセオリーはきっちり踏まえた正統派。さまざまな依存症に悩むエルトンがセラピーの場において過去を振り返るという設定ながら、そこからの脱却に関してはエンディングでの説明のみ、切れ味鈍かったような印象。
エルトンご本人が製作総指揮に名を連ねている以上、事実から大きく離れようもなく、エンドロールはまさに実況見分のよう。そしてご本人の自己憐憫と遠慮の気持ちが前に出すぎたのか、同性愛描写、バーニー・トーピンとの葛藤、両親との諍い等、ダークな部分がやや強調されたようなきらいあり。もっともっとハジけまくったきらびやかなエルトンを観たかった気持ちも。
エルトン名曲の数々は、ライブであれスタジオであれ、彼がピアノを弾きながら歌うという通りいっぺんなものではなく、ミュージカル仕立てや少年期の彼に歌わせる等々、さまざまなカタチに料理されているのが楽しかった。著名ミュージシャンがいろいろ登場してこないかと期待したけどそこはいまひとつ、キキ・ディーはご本人よりずっと可愛いかったけど。
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