ロバート・レッドフォード俳優引退作品。彼が最後に演じるのは1980年代初頭に実在した銀行強盗フォレスト・タッカー。銃を手にしても放つことはなく暴力もいっさいなし、微笑みを浮かべながら大金を手にする紳士的な強盗という、いかにも彼のフィナーレにふさわしい存在。監督は「A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー」のデヴィッド・ロウリー。
ロバート・レッドフォードまもなく83歳、実にシワシワ、クルマのハンドルを握る指先までシワシワ。でも白い歯キラリの笑顔はあいかわらず素敵だし、道行きの女性ジュエル(シシー・スペイセク)とのクールな距離の置きかたもやっぱりカッコいい。そのスタンスは高倉健がかって主演作品でよく演じていた男のそれに似たものを感じたのだけどどうだろう。
そして追う側の刑事ジョンにケイシー・アフレック。つねに背すじの伸びたフォレストにくらべると、彼のほうがよっぽどたそがれて投げやりな様子。この対照的なふたりの絡まり具合がこの物語の中心軸。前述のシシー・スペイセクやダニー・グローバー、キース・キャラダインというところが脇を固める懐かしモード。そして強盗仲間役をある歌手が演じていたのでビックリ。
ラストシーンの切れ味はさすが。ただ、そこにたどり着くまでの後半部分は名残惜しさかゆったりとした展開、もしこれが引退作品でなければ端折ってしまうのではと思わせたりも。スクリーンの色合いやタイミングよく流れる音楽、全編を通したニューシネマ仕様も懐かしく、実にニクい手法にて、若き日のロバート・レッドフォードに再会できるちょっとしたサービスもあり。
彼の熱心なファンなら、カメラアングルやちょっとしたセリフ、さらに小道具までにこれまでの彼を見いだして涙するかも。アプローチの違いこそあれ、クリント・イーストウッドの「運び屋」しかり、名優が老境の域に達すると、正義や良心よりも悪人の側を演じたくなるのかと妙に感心。全編93分という短い尺が、いかにもキャストの体力を思いやっているかのようでありました。
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