一風変わった西部劇であるということは、過去の名作もふくめふだんその手の作品をほとんど観ないこちらでもよくわかった。ドンパチあってもアクションなし、この変化球ぶりはフランス人監督(ジャック・オーディアール)がゆえの成せる技か。原題「The Sisters Brothers 」、これまた過去の名作映画タイトルを匂わせるも、単に“シスター家の兄弟”ということらしい。
暗闇を引き裂くツカミは最高。この物語は暗闇のなかですべてが進むんだぞという高らかな宣言なのかも。たしかにいかにもこれぞ西部劇と思わせる果てしなく広がる荒野を、男たちがゴールドラッシュに沸く西海岸まで馬で駆ける場面以外は、ほとんどが真夜中のしかも狭い空間(旅の道行き宿なんだから当たり前だけど)ばかりのやりとりに終始していたような。
でもその男たちのやりとりこそがこの作品最大の魅力。特に長兄イーライ(ジョン・C・ライリー〜「僕たちのラストステージ」のオリバー・ハーディ役)の、本人はマジながらもオトボケばかり繰り返すキャラは最高、次兄チャーリー役ホアキン・フェニックスやジェイク・ギレンホール、リズ・アーメッドといった他のメインキャストをすっかり食ってしまった感があり。
最初のうちは敵対していた間柄をふくむこの4人のパワーバランスもまた見どころ、主たる目的というべき黄金採掘はすっかり脇に追いやられてしまったような。そして感動的なラストシーン、優しく温かい陽光がきっちりと用意されていて、ああ、ここまで暗闇ばかりがやたらと続いたのは、まさに鮮やかな対比をもたらすための演出だったのかとしみじみした次第です。
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