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2019年06月30日14:50

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「凪待ち」〜ろくでなしの喪失と再生

ギャンブル三昧の自堕落な日々を送る郁男(香取慎吾)は、再出発をはかるべく恋人の亜弓(西田尚美)とその娘・美波(恒松祐里〜好演!新鮮な魅力の20歳)を連れ、亜弓の故郷である宮城・石巻に移住する。されども周囲とは軋轢をくりかえし、新しい環境でももどかしさは変わらず…。監督は白石和彌。加藤正人によるオリジナル脚本。

郁男たちが移住してしばらくは漁師町でのダラダラとした生活ぶりが描かれる。暴力性に満ちた傑作を連発(「麻雀放浪記2020」はなかったことにする)しているこの監督の作品が、このまま終わるわけはないとわかっているから、やがてやってくる沸点までがやたらと不気味なものに思えてくる。ある出演俳優はこんな穏健なキャラのまま終わるわけないし…。

自分がどうしようもない男だとわかっていて、そこから抜け出すべく何度ももがくものの、結局は同じところに着地してしまう自分へのいらだち。そのやるせない気持ちを香取慎吾は、暴力的なアクションもふくめ身体全体で実に巧く表現している。ことしの邦画はちょっと低調かなと思っていたけど、上半期の最後にきてようやくめぐりあった傑作だと言っていいと思う。

稲垣吾郎「半世界」・草なぎ剛「まく子」とあわせ、ジャニーズ事務所を離れた3人の作品がそろった。けっして都会に生きるカッコいい男(=木村拓哉「マスカレード・ホテル」)ではなく、いずれも地方の山村や漁師町で不器用に生きる男を演じているのが興味深い。はたして今後この3人は何人の映画監督と出会いいくつの傑作をモノにしていくのか、いまから楽しみでなりません。
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