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2019年06月23日15:20

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【今日の読了 拡大版】 虎とバット 阪神タイガースの社会人類学/ウィリアム・W・ケリー(著) 高崎拓哉(訳)(ダイヤモンド社)

「The Sportsworld of the Hanshin Tigers」というタイトルで昨年刊行されたペーパーバックの日本語版。社会人類学の博士号を持ち、ことし73歳になる著者はイェール大学教授としてたびたび日本に滞在。阪神タイガースという野球チームそのものではなく、彼らをとりまく球団フロント・マスコミ・ファンそして関西の土壌すべてを"スポーツワールド”と表現、筆を進めている。

著者が"フィールドワーク”と称して阪神タイガースに密着したのが1996年から2003年、すなわちほぼ暗黒時代。当時のヘタレ集団に関する記述が多く、いまではもう違うんやけどなあと言いたくなる部分もあるが、そのあたりは最終章にきっちりと答えが用意されていて、約20年後の"スポーツワールド”は、単にチーム成績だけでなくすべての環境が変貌したとまとめてある。

日本語版タイトルはもちろんルース・ベネディクトによる日本文化論の名著「菊と刀」をもじった、ロバート・ホワイティング「菊とバット」をさらにもじったもの。著者はホワイティングの画期的な日本野球文化論に敬意を表しながらも、その基幹部分に相当する、日本野球のすべてを日本固有の精神風土とりわけ企業社会の反映としてしまうスタンスには異を唱えている。

長らくのファンであるこちらとしては、目新しい記述を見つけることはあまりなく、阪神球団や日本プロ野球の歴史、関西人のメンタリティーをおさらいするような気分にもさせられたが(文章表現に面白い部分は多々あり、苦笑の連続だったがそれは訳者の力量かも)、一歩離れたところからこの愛すべき集団を民俗学的に解読した一冊、一気に読破してしまった。
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