樹木希林「企画」そして最後の出演作品。架空の投資話で7億円もの大金を集めたあと、タイへ逃亡し若い男を囲っていた詐欺女の物語。2年前実際に起きた事件を映画化。「エリカ」というのは自称していた偽名、実際は62歳だったのに色香をまとい偽った年齢が「38」。この女性の母親役・樹木希林うんぬんよりプロデューサー奥山和由の色が濃く出た作品というべきかも。
このとんでもない女を演じたのが、樹木希林とは「時間ですよ」以来の縁となる浅田美代子。アイドル歌手時代のたわいのない青春映画以来45年ぶりの主演とか。62歳でありながら38歳と偽る女性を要求され、さらに近年の事件だけに実在したこの悪女の記憶が誰にも新しいところ(実際見事な若作りだった)、けっこう難しい役柄だったはず。ちなみに彼女の実年齢63歳。
詐欺にあった多くの被害者が彼女が住む豪邸に押しかけ、悲しさと哀れみと醜さとわずかな可笑しみをバラまきながら詰め寄るシーンがクライマックスかも。長回しではないけれど、このシーンにおける俳優陣の熱演は特筆もの。本当の加害者そして被害者はいったい誰なのか、エンドロールでのリアリティには悲しさばかりがあふれてしまった。
裏社会のドロドロした空気を意味するのか、それとも人間が持つ醜くダークな側面を表現したのか、スクリーンは終始暗く、よどんだ空気が流れているような雰囲気。これではテレビ放映時やDVD観賞時はほとんど真っ暗で何も見えないのではと余計なことを考えてしまった。吉本興業が製作にからんでいるせいか、所属の芸人がふたり顔を出していた。
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