5月18日BS-TBS番組「北島三郎 芸道58年 歌魂の贈りもの〜昭和・平成・令和 歌い継がれる日本の心〜」を観た。
北島三郎の集大成とまでは言わないまでも、題目通り彼の現在の心境を番組にしたように感じた。過去を振り返るコーナーで彼は真っ先に好きな歌として、フランク永井の「夜霧の第二国道」をあげ、北山たけしとともに歌った。
フランク永井も昭和の歌謡界の歴史に大きな足音を残したが、北島三郎もまさに長期にその存在を示し続けてきた。この二人の接点は過去になかなか直接語られることはなかったのだが、この番組で初めて触れられた。
美空ひばりや石原裕次郎の話題のときにも触れたが、大衆文化に自らの存在を刻み付けたスター同士は、よほどのことがない限り互いへの尊敬を守っている。互いに強烈な色というか個性を誇るだけに、その個性に魅力を感じるファンがいる。
そのファンの色合いは互いに強力なライバルであり、相手を意識することでより磨かれ、いっそうその色合いをあでやかにする。
フランク永井はビクターの帝王たる吉田正を恩師に一つの世界を作ってきた。歌謡曲の色合いとしては「都会派ムード歌謡」とか言われる。北島三郎は船村徹を恩師に持つ。いわゆる典型的な演歌の世界だ。
北島が圧倒的にすごいのはその演歌の演歌たるところを見事に歌うところだ。こぶしコロコロというのではないが、演歌のツボであるところを歌う表現力は天性のものだ。例えばメロディーとしてフラットな「与作」などは北島の手(のど?)にかかれば、メリハリといい、感情表現といい、驚くべき状況を表現する。
彼のこの歌い方を天性に引き継ぐのは大江裕かも知れない。大江は三波春夫の「雪の渡り鳥」を歌った。サビのまわしどこ、というか演歌の勘所を本能的に表現するものを持っている。このような歌い方は吉田正・フランク永井にはないもので、船村徹が描いた世界とぴったり合うものだ。
何年も前に「さんまのからくりテレビ」という番組があった。ここで大江は北島にあこがれ弟子になるのだといい、さまざまな(こっけいな)試行錯誤を繰り返した。
弟子は北山を最後にあとは取らないと断られつつも、現在に見るようにちゃんと弟子の地位を得ている。大江の北島コピーはやや大げさに見えるものもあるが、しょせん大衆芸能の世界なので楽しく受け入れるのがいいのだろう。
フランク永井の方だが、北島三郎の歌をひっそりとカバーしている。「兄弟仁義」「函館の女」で、後者は2014年発売の「ザ・カバーズ」でCD化された。
ちなみに、今回の番組についての放送局側の紹介は次のようなものだった。
【過去3回放送してきた北島三郎の芸道シリーズスペシャルの第4弾。昭和・平成と歌い続けてきた北島三郎の歌は、昭和では「演歌」、平成では「艶歌」と、変化していった。今回の特番では、令和となる今「縁歌」をテーマにお世話になったファンとの縁を大切にしたいとの思いを込め「歌魂の贈りもの」として名曲の数々を歌い上げる。スペシャルゲストに昭和期を北島三郎と同じく歌と共に生きた二葉百合子さんが登場!2010年に引退を発表した二葉さんが一夜限りの名曲「岸壁の母」を熱唱する。また、数々の流行歌・歌謡曲・演歌を手掛けた作曲家・弦哲也さんをお迎えして昭和〜平成と変容してきた音楽を振り返る。さらに、北島ファミリーの北山たけし、大江裕も登場。昭和・平成・令和と歌い継がれる日本の心をテーマにおおくりする豪華な 2 時間スペシャル】
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