小作人制度の廃止を隠蔽したまま搾取を続ける領主。1980年代初頭にイタリアの小さな山村で実際に起きた大がかりな詐欺事件をベースにして、あまりにも無垢な青年ラザロ(アドリアーノ・タルディオーロ)と彼を取りまく村人たちを描いていく。監督はアリーチェ・ロルヴァケル。昨年のカンヌ映画祭でパルムドールを「万引き家族」と争い脚本賞を受賞。
あるアイテムを登場人物のひとりが手にするまで、これはいったいいつの時代の物語なのかまったく見当がつかなかった。それほどこの山村は現代社会から隔離された環境だったということ(まあ貧富の差が激しい国家〜中国映画なんかではよくあることだけど)。その分あまりイタリアではお目にかかることが少ないように思える、美しい自然のすがたを存分に味わえる。
無垢な人間を通して、社会や人間の醜さを浮かび上がらせる〜これは「フォレスト・ガンプ」にも通じる設定。実はもうちょっと社会派作品的な展開を期待したんだけど、宗教観につつまれた寓話的な側面が強調されていた。ラザロという主人公の名前を筆頭に、キリスト教からの引用や比喩が散りばめられているとのこと、そのあたりはなかなかスンナリとは理解できず。
早くもことしのベストワンとか各所で絶賛されている様子、でも実際のところはそれほどでもなかったなあというのが正直な感想。前半はゆったりとしすぎていたような気がするし、エンディングにはそれなりの劇的な展開が用意されていたけれど、やっぱり社会派作品の持ち味というべきシャープな切れ味を期待しすぎてしまったのかなあと思っているところです。
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