1960年代初頭のアメリカ南部が舞台。知的でプライドが高い黒人ジャズピアニストのドクター・シャーリー、そして彼の演奏ツアーに運転手として雇われたのが粗野で武骨なイタリア系白人運転手トニー。本年度アカデミー賞作品賞に輝くのは好対照なふたりを描くロードムービーそしてこれまた実話。監督は「メリーに首ったけ」等のピーター・ファレリー。
お腹ぽっちゃり、何キロ増量したかトニー役ヴィゴ・モーテンセン。北欧の血が混じる彼は、もともとエキセントリックな匂いと繊細な面持ちで異彩を放っていた男優なんだけど…。そしてこの作品でオスカー助演男優賞を手にしたのがドク役マハーシャラ・アリ。そう、従来のバディムービーとは白人/黒人のキャラ設定が入れ替わっているところが今回の見どころ。
ピアニストの物語、もちろん音楽は大きな比重を占めていて、当時の黒人大衆音楽とドクが求める高尚な響きとのギャップが面白くてたまらない。そしてもうひとつポイントをあげればさまざまな食文化。トニーが大家族で育ったイタリア系であることが、食事にまつわる場面で彩りを添えている。あとトイレネタでは同じ時代を描いた一昨年の傑作「ドリーム」を思い出した。
ドク自身が黒人差別を哀れむいくつかのシーンを物語全体のフックにしながらも、このままずっと見ていたいと思う珍道中。旅の終わりは思っていたほど大きなうねりではなくあっさりとしたものだったけど、それがかえってあとからジワジワくる感動に。ほどよい笑いとほどよい涙、そして誰もが楽しめるわかりやすさ、これぞ万人が納得するオスカー作品だと思います。
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