10日後にせまった今年のアカデミー賞最優秀作品賞有力候補のひとつ。18世紀のイングランド王室を舞台にした王女(オリヴィア・コールマン)とその侍女ふたり(エマ・ストーン&レイチェル・ワイズ)、女性3人によるドロドロとした愛憎劇。監督は「ロブスター」「聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア」のギリシャ出身ヨルゴス・ランティモス。
当時の宮廷模様を細部まで再現した美術そして衣装が話題。窓から差し込む光線が織りなす陰影の効果も素晴らしく、ありきたりな表現ながらすべてのカットが一枚の絵画を見るように美しい。ときおり広角(魚眼?)レンズを用いた遠近の強調も効果的、あと人物をやや仰ぎ見るように撮るアングルが多く、それはやんごとなきひとたちの威厳を強調したということだろうか。
ところがそこで繰り広げられる愛憎劇は、醜悪と異端と下衆の極み、高貴な言葉遣いを重ねながらもその中身は下品な欲の塊り、もちろん視覚的にもここが宮廷だとはとても思えないドギツく悪趣味な展開が次々。日本の大奥ものなど相手にならず、脇で登場する宮廷男性たちも情けなくとことん弱き存在。おそらく史実や時代考証なんてものはどこかに置いてきたんだろう。
この醜い三角形をもっともかき回すのがエマ・ストーン。“目鼻立ちがクッキリ=現代的”というのは日本人特有の先入観かもしれないけど、顔立ちだけでなくその目つきやちょっとしたしぐさまでがところどころイマ風で18世紀の宮廷侍女とすればちょっと違和感。でもおそらくこれは劇中の異化効果を狙った作り手の確信犯的演出ではないかと思った次第です。
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