豪華キャストによる顔芸対決が話題になっている池井戸潤原作小説の映画化。中堅メーカー営業部をめぐる偽装問題がテーマ。終盤にカメオ出演している大物男優をふくめ、ここにあと渡辺謙だけ加われば日本映画界総ざらいかと言いたくなる多彩な顔ぶれ。そんな俳優陣に囲まれてフレッシュな存在感を発揮していたのが朝倉あきと藤森慎吾(オリエンタルラジオ)かなと。
メインキャストに狂言師と歌舞伎役者を配したからかどうか、話題の顔芸はもちろんのこと、セリフのやりとりも大仰そのもの、独特のテンポでグイグイと話が進む様はまるで”歌のないミュージカル“。デスクとPCのみ、整然としすぎるオフィスでは社員全員が手を止めて主役たちのやりとりを見守り、ダンスフロアのような広さの社長室に体育館のような広さの会議室。
とにかくすべてがデフォルメされ、かついくつかのシーンではシンメトリーな構図が強調、もしこれが独特の美意識を持つ欧米のアート系映像作家の作品であれば、“〇〇監督特有のユニークな構成美に彩られた極上の作品“などとしたり顔で語られるに違いない。もっともふだんからそういうことばかりほざいている輩は、初めからこの作品を観ないだろうけど。
物語の基幹をなす製造部品の偽装にからめて、商取引のありようと技術的な部分におけるリアリティのなさをツッコむむきもあるけれど、けっしてこれは社会派作品にはあらず、豪華な俳優陣の競演を楽しむ完璧なるエンタメ作品とすべし。作り手あるいは原作者が言いたかったことは、エンドロールにおける主人公のモノローグにすべて託してあるのではと思った次第です。
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