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2018年12月01日15:40

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「バルバラ セーヌの黒いバラ」〜パリの空は重く低く

フランスの伝説的女性歌手、シャンソンの女王バルバラの人生をたどる。ただし単に時系列で綴っていく一般的な伝記ものではなく、バルバラを題材としたドラマの制作過程を追い、彼女に扮する女優ブリジット(ジャンヌ・バリバール)が、徐々にバルバラという存在に溺れていくさまを描いた作品。さらにバルバラ本人の貴重なステージ映像も挟まれるというからややこしい。

まちがいなく作り手側が意図したもの、観かたの甘いこちらはまんまと術中にはまったのだろうけど、どちらにしてもこの多層構造はけっこうやっかい、話を追ううちいつのまにかその境目なんかどうでもいいわという気分になる。さらに物語の先に大きな起伏が待っているわけでもなく、けっこう淡々とした流れが続くので、その印象はさらに深まってくる。

華やかなスポットライトを浴びる瞬間はほんの一部分、孤独と哀しみに彩られた彼女の心象風景を物語るように、スクリーンは終始影につきまとわれているような暗めのものが続く。たまに屋外のシーンがあってもパリの空はいつも重く低く、どんよりとしている。この枯れた味わいのおかげで、なんだかひさしぶりに本格的フランス映画を観たような気分にもなったのだけど。

もちろんバルバラ楽曲はいくつも流れる。字幕を読むかぎりでは古今東西不変の愛の歌。人生を重ねたひとほど深く心にしみいるのか、高齢になって初めて(日本で言うところの)シャンソンの世界にハマっていくひとがけっこういるのもうなずける。はずかしながらなじみの曲はなかったけど、どれもこれも味わい深く、いまこの季節にこそふさわしい曲ばかりだと思った。
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