2015年、日本の植民地支配からの解放70周年記念行事のひとつとして、北朝鮮政府はスロベニア(旧ユーゴスラビア)のベテラン・インダストリアル系バンド、ライバッハを招へいする。海外ロックミュージシャン初の公演として北朝鮮に乗りこんだ彼らを待ち構えていたものは…。平壌到着から厳しい監視体制のもと、ライブ当日までの波乱の一週間を追ったドキュメンタリー。
まずなによりも先に、なぜ英語圏のビッグネームではなくスロベニアのバンド、そしてなぜ本国でも思想的な危うさを絶えず問われているライバッハを招へいしたのか、その疑問は誰しも抱くことだと思う。そのあたりの説明はちょっとしたジョーク的やりとり以外には最後までなかったように思うけど。見落としたのだろうか。相手が相手だけにその部分は封印されているのか。
公演当日までのイザコザは、まあこちらの想定内。ことライブ会場における設備や技術面に関する両者の諍いは、半世紀前の洋楽来日公演でもこんなもんやったんちゃうのと思わず苦笑い。ただ全般的にカメラは思ったよりさまざまな場面で自由に動いているなという印象。検閲当局とのトゲトゲしい場面などよくあそこまで接近して撮影できたものだと思った。
このライブを成功させるべく、多少の妥協も含みつつ自らの信念を貫いていくライバッハのスタッフ各氏の力強い言葉に敬服しつつ、ともにライブを運営していく北朝鮮側の通訳や技術者、あるいは公演にやってきた多くの人民たちが、得体の知れないものに初めて触れた時の素直な反応が興味深く、そして彼らをどこか愛おしく感じてしまう迫真のドキュメンタリーでした。
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