米・メリーランド州に暮らすレコード・コレクターという名の偏屈爺さん、ジョー・バザードの日常を追ったドキュメンタリー。1920〜40年代のSPレコードにこだわる彼は、ブルース・カントリー・ブルーグラスといったジャンルばかり25000枚所有。さらに自宅地下室を勝手にFM局に改造、自らノリのいいDJをこなして発信する日々。制作は2003年とこの作品自体が発掘もの。
彼がお気に入りの曲をターンテーブルに乗せるたびに、SPレコードのレーベル部分がアップになる。このあたりの音楽にくわしいかたなら、レーベルロゴあるいは楽曲そのものに懐かしさを感じたり、そのレア度に思わずニヤリとすることが何度も続くと思う。こちら楽曲はおろか、彼の口にのぼったミュージシャンの名前も半分ぐらいしかわかりませんでしたが。
けっこうヘンピな片田舎の生活。都会に出ればレア物に出会えるチャンスはもっとあるだろうし、情報もあふれているだろうにと、ついつい我々の尺度では思ってしまう。いやいや、おそらく片田舎だからこそ、ごくふつうの暮らしを営むひとのところに掘り出しものは眠っているということなのか。田舎の親戚んちに思わぬレアものがホコリにまみれていたりするのと同じでしょうか。
予算と撮影期間に限りがあったのか、映画作品として公開するには52分と短尺で、内容もちょっと平板。よくあるドキュメンタリー作品のように、著名人が出てきて彼をたたえたりすることなどまったくなく、登場するのはメリーランド市井のひとばかり。だからこそ本物のルーツ・ミュージックを愛する彼のすがたが等身大のまま伝わる、ホームメードな作品と言っていいでしょう。
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