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2018年06月09日12:14

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吉田正音楽記念館で開催された「宮川哲夫展〜都会調歌謡と青春の歌」

 「宮川哲夫展〜都会調歌謡と青春の歌」が日立市の吉田正音楽記念館で二年まえに開催された。
 宮川哲夫展は人気の企画で、その都度さまざまな工夫をこしらえて展示されている。
 フランク永井に歌詞を提供した作詞家は多いが、宮川哲夫は中でも絶対に欠かせない人だ。宮川が書く詞は昭和のそのときどきの匂いが独特のタッチで描かれていて、その詞が醸し出す雰囲気は強く頭に残る。
 フランク永井のデビュー初期の流行歌第一号「場末のペット吹き」。そして「夜霧の第二国道」と「羽田発7時50分」。ここまで紹介しただけでそのパワーははじけているのだが、決定打は「公園の手品師」かもしれない。
 戦後の荒廃から必死に立ち上がろうとうごめく都会の大人たち。場末の酒場の雰囲気がドーンと胸に迫る。この少し前にフランク永井の恩師吉田正と組んでヒットさせたのが鶴田浩二「街のサンドイッチマン」。何とも哀愁に満ちている。
 当時の人ならだれもがくちずさんだ宮城まり子「ガード下の靴磨き」。
 「ねぇ おじさん みがかせておくれよ。ホラ まだこれっぽちさ。てんでしけてんだ。えっ お父さん? 死んじゃった…。お母さん 病気なんだ…」
 これは宮城がみごとに歌い上げているのだが、詩の中身を思うと切なくて誰もが涙する。磨きなあら客の問。小僧は応える。「お父さん? 死んじゃった…」。戦争の落としご、孤児のやるせなくもたくましい生活の断片だ。二度とこの悲劇を起こしてはならない、街にあふれる彼らをみんなの温かい目で守らなければならない、という思いが伝わるからだ。
 三田明「美しい十代」はどうだろう。からっと真正面からてらいなく切り込んでいる。三田はもちろんこれで一気に大人気を得る。
 忘れられないのは橋幸夫「雨の中の二人」。筆者が上京したて働き始めた時の歌だ。この梅雨時になると必ず思い出す。橋の作品は数多いがもっとも好きな一曲だ。
 会場にはこの度も圧倒するような数の詞のリストが展示されているだろう。宮川が苦悩と共に残した作品群だ。宮川の創作に打ち込む姿勢は写真の「街のサンドイッチマン」(辻由美著)にくわしい。
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