山田洋次86歳、年齢的にはクリント・イーストウッドとウディ・アレンのほぼ中間。そして一年に一本確実に新作が届く、精力的な活動ぶりが3者に共通するところ。“寅さん”“釣りバカ”に続くシリーズものとして確立すべく、松竹が全社を挙げて挑むのがこの「家族はつらいよ」、”熟年離婚“”無縁社会“に続いて今回第3弾のテーマとするのは”専業主婦“。
ということで、今回スポットライトが当たるのは、にぎやかな平田家メンバーのなかにおいてはこれまで地味な存在だった主婦史枝。演じているのは夏川結衣、かってモデルやグラビアアイドルして活躍したり、関西の漫才師と噂になったりしていた彼女を知るこちらとしては、エプロン姿もサマになり、ドッシリとした落ち着きを見せる彼女には経年の思い。
昭和の家族においては普遍的な存在だった専業主婦という立場、平成の世も終わろうとするいまどうあるべきなのか、平田家の各人が口論のさなか口にするセリフの数々に、山田監督からのメッセージがいくつも届けられていたような。高齢者がほとんどを占めた客席側に合わせてか、セリフもゆっくりくっきりと、カメラアングルも平易なままわかりやすく連なっていく。
余分な想像力などまったく必要なし。前作のエンディングがややダークなまま終わったことへの反省か、今回は誰しも納得のいく100点満点の一件落着ぶり。ただ次作への予兆もちょろっと匂わせながらのエンドロール。ほぼ満席の場内を揺らす爆笑の連続かと思えばすぐさますすり泣き。この優しき人情の重なりあいこそが松竹映画の伝統、抜群の安定感でした。
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