政府による文書の隠ぺい工作をその国を代表する新聞社がスクープ、そしてそのライバルたるメディアの出方は…などと聞くと、スケールの違いこそあれいままさにこの日本を揺るがせている問題とだぶらせてしまう。1970年代初め、ベトナム戦争に関した膨大な文章をひた隠しにしていたペンタゴン=アメリカ政府を追うワシントン・ポスト紙記者たちの物語。
とにもかくにもスピルバーグ作品。リアルなドキュメンタリー的部分と湿り気のあるドラマ部分のバランスがほどよく、物語が後半に進むにつれてじんわりと高まっていく緊張感は、観ている側にとって実に気持ちいい。ほとんどワンシーンしか出てこない小さな役柄のはさみかたが効果的、このあたりの気くばりがやっぱりスピルバーグやなあとしみじみしてしまう。
メリル・ストリープ(新聞社発行人)とトム・ハンクス(編集主幹)という顔合わせも見どころ。ふたりの熱演を比較すれば、トムはつねにカッコよさをキープするハイ・アベレージヒッター、そしてメリルのほうはチャンスで特大ホームランを放つスラッガーといったところか。そう、物語のポイントとなる部分ではきっちりと彼女が迫真の演技、おいしいところをさらっていくのだった。
タイプライターでの原稿作成から活版印刷、輪転機からトラック配送まで、当時の新聞文化がふんだんに味わえる。男くささあふれる新聞社内編集局の再現度も興味深い。政府を相手にしてまで報道の自由を守ろうとするひとたちの熱き物語、政府の側にせよメディアの側にせよ、いまの日本にはこの作品を観るべき輩が数多くいるにちがいないと確信した。
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