独特の八文字眉と眼差しの造形ぐあいがちょっと苦手だったピクサーのアニメキャラ。いつのまにかその違和感はどこかへ。今回はメキシコが舞台、ミュージシャンを夢みる少年ミゲラを主人公にして、家族の絆というテーマを描いていく。監督は「トイ・ストーリー3」のリー・アンクリッチ、主題歌は「レット・イット・ゴー ありのままで」と同じ人物による作詞・作曲。
主人公がミュージシャンにあこがれるのだから、音楽なるものはこの作品における大きな柱。なのでミゲラが自らの先祖を探しもとめるうちに迷いこむ「死者の国」、当然そこには過去・現在・未来というものは存在せず、大きなスタジアムや小さなイベントステージではマリアッチからメタル、EDMとさまざまな音楽が奏でられていて、そのアンサンブルが実に興味深い。
そしてこの「死者の国」のダイナミックでファンタジックな映像が素晴らしく、非常に不謹慎な表現ながら、大麻を吸ったときに見る多幸感に満ちた幻覚というのはひょっとしてこういうものなのではなどと思ったりも。ただ「死者の国」にもかかわらず、ふたたびそこでさらなる死と向き合うという展開は、感動的ながらもちょっと強引なのではと苦笑い。
メキシコならではの大家族がからみあうせいか、“家族の絆”という側面だけをたどれば感涙もの。各家庭が祭壇をあでやかに彩り、先祖をお迎えする「死者の日」というメキシコの伝統行事が物語のベースに。そう、せっかくのことならお盆のころに公開すれば、太平洋をまたいで共通する民間伝承をよりしみじみと味わえたかも、なんてことを考えてしまいました。
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