先日の第90回アカデミー賞で最優秀外国映画賞に輝いたチリ作品。舞台はその首都サンチアゴ、ヒロインはウエイトレスそしてナイトクラブのシンガーとして働くトランスジェンダー(以下TG)のマリーナ。彼女の年の離れた恋人、オルランドは誕生日の夜に急逝する。最愛の存在を失い悲しみにくれる彼女、ところがTGにたいする偏見に満ちた周囲の目は冷たく…。
実際にTGであり歌手でもあるダニエル・ヴェラは、不合理な現実にもかかわらず前向きに人生を生き抜くマリーナを熱演。ただかなり彼女の気持ちによりそってこの物語に浸かっていかないと、ストーリー展開そのものはやや平板に映ってしまうように思えた。随所でマリーナがとった行動は大胆そのものだけど、物語に大きな波乱が待っているわけではないということ。
そしてたぶん私の見かたが浅い(見落とし)だけなのだろうけど、これら各点がスッキリしないまま。1.主人公がTGである作品だと前宣伝されていたけど、もしそれを知らない場合、観る側はどの時点で分かることになるのだろう。2.劇中オルランドはどこでマリーナがTGとわかったのだろう。3.ふたりが熱愛の間柄となるまでの時間の経過はどこかで描かれていただろうか。
マリーナがシンガーということもあり、音楽も注目点のひとつ。邦題のもととなったポップス名曲、ディスコの群舞シーンで流れるトランスミュージック、マリーナ自身がラストで熱唱するオペラ名曲、そしてエンドロールで流れた意外な曲、ジャンルはバラバラながら、力強く人生を生きていこうとするマリーナの心象風景を映した鏡のよう、すべて心に染み入ってきました。
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