男性として生きていくことを決意した16歳のトランスジェンダー・レイ(エル・ファニング)、その母親マギー(ナオミ・ワッツ)は恋多きシングルマザー、そしてそのさらに母親、老境の入口にいるドリー(スーザン・サランドン)はレズビアンだ。偏見に満ちた周囲とたたかう三世代それぞれの生きかた。秋深まるニューヨーク・チャイナタウン近くを舞台にした家族の物語。
“思ったことをすぐ口にして相手をイライラさせる”、やっぱりアメリカの女性ってのは…これもまた偏見かもしれないけど、とにかく3人の感情のぶつけ合いが興味深い(原題は「Three Generations」)。それはすなわちアドリブ多々ふくむだろう女優同士の熱演でもあり、話の周辺部でときおりからむだけの男優陣はまったく蚊帳の外といった感じに映る。
おそらく最初のうちはマギーに気持ちを寄せるにちがいないだろう観る側も(あるいはしばし毒を吐くドリーか)、中盤以降である事実が明るみになったあたりからは、レイの心情にそってこの物語を追っていくことになると思う。撮影時にはレイと同じ16歳だったエル・ファニング、いまこの瞬間でしか表現できないきらめきを重ねたかのよう、圧倒的な存在感だ。
レンガ色を主とした街並みや秋深まり色づく樹々、そして登場人物それぞれの髪の色や装いの色使い、すべてが茶系統で美しくコーディネートされている画作りも素晴らしい。そしてけっして大げさではないけれど心温まるラストシーン、好き放題言いあっている米女子たちもこういう機会にはこういう場所を選ぶのか…なんだか嬉しい気持ちになれることを保証します。
ログインしてコメントを確認・投稿する