フランク永井の歌手生活でその残した曲の全容を記録したはずのデータブック(「フランク永井魅惑の低音のすべて」)が発行されたのは、東日本大震災が発生した前年の2010年だが、それから7年経過した。
その間にデータブック未記載の曲が全国のフランク永井ファンの努力によって、数十曲が発見されている。フランク永井の生涯所属したレコード会社(ビクター)からレコード盤として正式にリリースされたものについては、新たな発見はほとんどない。
発見がある都度当サイトで紹介をしてきたように、レコードについてはオムニバスのレア盤。例えば「魅惑のオール・スターズ」シリーズなど。これらについては、曲名はほとんど判明していたものの、現盤が見つからなかったものである。これがその後つぎつぎと発見されて、現時点では第9集のみ未発見である。
次に、データブック発刊時にほとんど無視していたテープと8トラックだ。いずれもビクター製と言いたいところだが、既報告のようにビクター製のものからの「新発見」はわずかである。他の競合のレコード会社であるポニー(現ポニーキャニオン)製のテープと8トラックだ。
今回の発見もポニーの8トラックからである。1970年代前半の作品「フランク永井「長崎は今日も雨だった」最新ヒット歌謡をうたう」(PONY 8PJ-3144)。
これもタイトルのごとくその時代の流行歌のカバー集である。リストは下記のとおりだが、ここに「行ってしまった恋」「好きなのに」という、初めて聴く曲がはいっている。
残念ながら歌詞票が不在で、曲の作詞家、作曲家、編曲家、元唄の歌手がわからない。なので、もしかしてフランク永井のオリジナルなのではないかという想定もなりたつ。このテープを掘り出して知らせてくださった方は、その2曲について歌詞起こしもしてくださった。それも紹介したい。
これをご覧になって、これは誰それの歌った曲だよとか、ご存知の方はお知らせいただければ甚大だ。
01 長崎は今日も雨だった (元唄:内山田洋とクールファイブ)
02 悲しき天使
(作詞:ジーン・ラスキン、作曲:ボリース・フォミーン/
日本語詞:漣健児、唄:メアリー・ホプキン/ 森山良子 他)
03 夜霧よ今夜も有難 (元唄:石原裕次郎)
04 夜明けのスキャット (元唄:由紀さおり)
05 みんな夢の中 (元唄:高田恭子)
06 知りすぎたのね (作詞作曲なかにし礼
元歌:ロス・インディオス/ 沢たまき/ ロミ・山田)
07 時には母のない子のように (元唄:カルメン・マキ)
08 君こそ我が命 (元唄:水原弘)
09 行ってしまった恋※
10 グッドナイト・ベイビー (元唄:ザ・キング・トーンズ)
11 今は幸せかい (元唄:佐川ミツオ)
12 好きなのに※
【行ってしまった恋】
別れて そして涙に濡れて 淋しく生きてる
夢の望みも どこかへ逃げたわ
苦しい そして悩んだ恋も 今では懐かしい
思い出は 思い出は 遠い昔ね
愛して そして愛されたのに 壊れて消えたの
信じて甘えて すべてを捧げた
あなたと そして私の恋の 亡き骸抱きしめて
泣いてるの 泣いてるの 馬鹿な私ね
苦しい そして悩んだ恋も 今では懐かしい
思い出は 思い出は 遠い昔ね
【好きなのに】
好きなのに 好きなのに 言葉もかけられずに
知らぬふり 知らぬふり 装うだけ
恋の苦しさ 心の弱さを
飲めぬお酒に 隠す私
好きなのに 好きなのに 言葉もかけられずに
知らぬふり 知らぬふり 装うだけ
たまらなく たまらなく 抱きしめられたくて
倒れそう 倒れそう 胸も震える
愛されたくて 打ち明けたいのに
なぜか怖いの とても私
好きなのに 好きなのに 言葉もかけられずに
知らぬふり 知らぬふり 装うだけ
愛されたくて 打ち明けたいのに
なぜか怖いの とても私
好きなのに 好きなのに 言葉もかけ
「悲しき天使」「夜明けのスキャット」「みんな夢の中」「今は幸せかい」が、先の2曲と共にデータブックにない曲であるばかりか、この作品にのみある曲だ。
写真中央の「ゴールデン・デラックス」はビクター製の8トラックだが、それ以外はポニー製のテープと8トラック製品。それにしても大変な点数だ。ここで「新発見」といっているのは、このポニーの製品からなのである。
ポニーはあの時代たのレコード会社もそうだったけど、マイカーの再生機用の製品を中心にテープ先品で大きな力を発揮していた。ポニーはその独特の企画力で自社がかかえる歌手だけでなく、他社の人気歌手についても手を差し伸べたようだ。
いずれもオリジナルの企画で、それ用に新たな吹き込みをしている。フランク永井については、カバーも判明している数点のオリジナル曲も新規に録っているのだ。だから、点数だけでも50曲前後あるのではないか。
データブックにあるビクター製のカバー曲と同名の曲も、ポニー版としてオリジナルの編曲で作られている。素人の勝手な感想だが曲を聴くとやや「練り込み」不足の感があるが、フランク永井は各所のライブなどで歌い込みをしているので手抜きしないで吹き込んでいるのが分かる。
他社の人気歌手を使うのはその時代でも異例だったのではなかろうか。企画が持ち込まれて、ビクターも実際には認めている。フランク永井の魅力を別の視点からもっと広げられるのではないかとの気持ちもあったのだろう。フランク永井自身も応じている。フランク永井とビクターサイドの太っ腹な判断が、今驚くべき遺産となって見出だされたものだ。
一連の新情報を提供していただいた提供者に、あらためてこころからお礼を申し上げたい。
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