子供のころ百貨店に行くことすなわち非日常なひととき。両親や祖父母に連れられて、よそいきの服に身を包み、まずはおもちゃ売り場、続いて屋上遊園地、さらに大食堂。自分を育ててくれた“マイ・百貨店”は誰にもあるはず。それは住んでいた沿線のターミナルに多かったのでは。そう、私の場合それはあべの近鉄、なんでもことし80周年だとか。
80年のうち後半50年はリアルタイム。なんとも懐かしいのは昭和40年代フォトの数々。宣伝ポスターは当時のアート感覚を、女性店員のユニフォーム変遷はモードの流れをそれぞれストレートに反映。興味深かったのが包装紙の変遷。ほぼ半分はおおいになじみあり、あのころ祖母はいつもきれいに折りたたんで、押し入れにきちんとしまっていたから。
80年のあゆみをざっとながめると、近年のハルカス誕生がいかにエポックメイキングな出来事だったかよくわかる。ただしバファローズ消滅やあやめ池遊園地閉園と引き換えだったことを忘れるべからず。そして個人的記憶のなかでは、ハルカスよりも昭和最後のあたり、バブル景気のさなかに売場を思いきって増床したときの変貌ぶりのほうが強く印象に残っている。
9F催事会場の片隅でこじんまり、もちろん入場無料。わざわざ電車にのってやってくるほどのものではなし。お近くのかただけ時間があるときに。年配のお客が係のひとをつかまえて、自身の思い出話を熱く語る場面を何度も目撃。やっぱりいろいろしゃべりたくなるんやなと。係員のほうも、いかにも聞き上手タイプのベテラン女性店員をそろえてあったのが興味深かった。
ログインしてコメントを確認・投稿する